株式会社キャリアプロジェクト
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キャリアインタビュー

 第1話 : 林 みゆきさん(福祉住環境コーディネーター)

●林さんは全く異業種の建築・施工の世界に転職されたいうことですが、この仕事を選んだきっかけは?

11年前の27歳の時、何か手に職をつけたくて、職業訓練校のトレース講座を3ヶ月受講しました。
「トレース」とは今で言う“CADオペレーターの手描き版”のような位置づけでしょうか。
以前から建築に進みたいと思い始めていましたが、自分のまわりに建築関係者がいなかったので、一番近いところでまず図面トレースから始めてみたんです。
トレース講座の受講終了と同時に、もっと本格的に勉強するため、建築専門学校の夜間部に入学しました。
トレース講座で作った図面を携えて就職活動もしました。
ある設備施工会社が、未経験で女性で夜学に通うという悪条件にも関わらず、その場で即決採用してくれました。
私の元気さとやる気を買ってくれたのだと思います。
そうして、昼間は現場・夜は学校という生活が始まりました。

●即決ですか!夜学に通いながらでも夢を実現する!という思いが伝わったんですね。
  でもお仕事しながらの勉強は大変だったのでは?

そうですね、現在の私は建築施工管理と建築設計を請け負っていますが、学校の専攻は設備設計です。
会社も設備施工会社でした。
建築を学ぶためには設備からが入りやすいと思って。

でも設備は設備で奥が深く、水や空気や光や電気などなどの起こす現象を科学的に計算する学問で、夜間2年間という短期間で学ぶのは容易なことではなかったです。

親の反対を押し切っての生活だったので、学費や生活費等すべて自分で出費しました。
自分でお金を出すと、学校を最大限に活用するべく図書館で本を借りて、先生には毎日質問をして、一時も無駄にしないで必死に勉強しました。

現場のほうでも、上司や職人が何を言っているのか、さっぱりわからなかったのですが、指示された事や役に立ちそうな施工図面をコピーして、わからないながらも資料集めをしたり、上司に聞いたりして何とかついていきました。
144戸のマンション新築工事の着工から完工までリアルタイムで施工に立ち会いましたが、学校で学ぶと同時に大きな現場に通えたことが、その後の仕事で大いに役に立ちました。

2年目で11階建てマンション現場を任されました。
ゼネコンの監督や所長が、経験の浅い私を温かい目で見守ってくれたのは、コミュニケーションを大事にしたからだと思います。
別の現場にいる上司と、現場の所長との“ほうれんそう”をきちんとして、解らないながらも職人さんに教わった“スミダシ”(たとえば建物の壁を立てるとき、職人がどこに壁を立てるかわかるように、印をつける作業)や発注やきまりごとをどんなことがあっても怠らないようにしました。

その後設備監督から建築監督になり、いろいろなことがありましたが、この新人の時の苦労と比べたらなんでもないです。

●学校と仕事の現場、相乗効果でたくさんのことを吸収したのですね!
  知らないことがあっても、コミュニケーションを心がけたからこそ、周囲の協力が得られたのでしょうね。

建て物を作るには様々な人が関わってくるんですよ。
いろいろな職種のひとと共同で一つのものを作ります。
現場監督はその様々な人と人を結ぶ仕事です。つまり、様々な人とコミュニケーションをとる必要があるんですね。
あちらが出っ張ればこちらが引っ込む…それを平らにしてゆくためには人の話を聞く事が大切です。
そしてその話に対してきちんと対応しなければ、共同でモノは作れないのです。
この仕事を通して、ものすごくコミュニケーションの方法を学んだと思います。
またトラブル発生に対しても、どのように対応するかを考える冷静さが身についたと思います。

●仕事を通じて、コミュニケーションスキルもアップするということですね。
  ところで、今のお仕事で苦労していることはありますか?

コストと利益と品質管理です。
企業ですからやはり利益を出さなければなりません。
良い品質で安くて赤字ではない仕事をする…結構それが難しいです。
また建築の勉強をする時間がなかなか取れなくて困っています。

●林さんの将来の夢は?

この数年でようやく、自分が本当に創りたい建築というものが見えてきました。
「施工を知らなければ設計はできない」というのが私の持論ですが、11年目でようやく、本来の目標である“豊かな空間”について考えられる段階に来たかなって思っています。
今年は一級建築士の資格を取得して、設計事務所を開設しようと思っています。
最終的には設計施工会社を始めるのが夢です。
私は小さい頃、祖母に育てられたので、高齢者の方が住みやすい建物を自分で設計して創りたいと考えています。

●「設備」の経験が「建築」に、「施工」の経験が「設計」に…林さんの目指す建築のあり方に向かって、長期的な広い視点でキャリアアップしてきた11年間だったのですね。
その原動力は、林さん自身の“豊かな空間”への思いではないでしょうか。
未経験の現場で生き抜く秘訣、とても参考になりました。
貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

 

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